デジタルトランスフォーメーション(DX)という言葉を耳にする機会が多くなってきました。新聞でもDXというキーワードを目にすることが多いのではないでしょうか。
例えば、日経新聞でもDXと検索すると1日の記事から10件程度が検索できます。書店へ行ってもDXに関係する書籍も多く、YouTubeでもDXに関する動画は多く公開されています。
今日は最近話題のDXについてまとめたいと思います。
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは
では、DXとはどういうものでしょうか?
DXは2004年にスウェーデンのエリック・ストルターマンが考えた言葉で「ITにより生活をよくする」といった内容から始まっています。現在では、経済産業省で「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。」と定義されています。
わかりづらいと思いますので、1冊目に読みたい DXの教科書に定義されている(P.20~23をもとに作成)以下の定義を活用したいと思います。
- Dはデータを活用すること
- Xは提供する価値や提供する仕組みを変えること
とてもシンプルです。ただ、まだざっくりしていますので、それぞれの内容について少し詳しく見ていきます。
データを活用すること
データを活用することを見ると、それは当然だろうと思う方モいらっしゃるかも知れません。しかし、このデータを活用することを分解すると、いくつかのステップに分けることができます。
- 必要な情報を集める
- 情報を整理する
- 情報をすぐに見られるようにする
- 必要なときに使う
ひと言でいうと、価値のある情報を加工可能な形式で取り出せるような仕組みを作ることになります。
1. 必要な情報を集める
まず、何が必要な情報なのかを考えます。お店なら「売上」「お客様の年齢層」「人気商品の販売数」などが役立ちます。ただし、すべての情報を集める必要はありません。重要な情報だけを集めることがポイントです。
2. 情報を整理する
集めたデータはそのままだとバラバラで使いにくいものです。整理して、見やすい形にしましょう。例えば、1か月の売上を日ごとに分けて並べるだけで「売れている日」「売れていない日」がひと目でわかります。
3. 情報をすぐに見られるようにする
整理したデータは、必要なときにすぐ見られる状態にしておきましょう。たとえば、Excelや専用の管理システムに保存すれば、検索してすぐに取り出せます。レポートを作るのも簡単になります。
4. 必要なときに使う
データは集めただけでは意味がありません。売上データがあれば「どの商品がよく売れるのか」を調べたり、問い合わせの記録があれば「どんな相談が多いか」を知ったりすることで、次の行動に活かせます。
データをためるだけでは意味がない!
データをどれだけ集めても、整理されていなかったり、必要なときに取り出せなかったりすると、ただの「ゴミの山」になってしまいます。データは「集める・整理する・使う」の流れを意識することで、ビジネスの力になります。
提供する価値や提供する仕組みを変えること
提供する価値とは、お客様にとっての商品の良さや魅力のことです。たとえば、お店で売っている「美味しいパン」なら、そのパンの味や品質が「価値」にあたります。この価値をもっと良くするためには、新しい種類のパンを開発したり、健康に良い材料を使ったりする方法があります。
提供する仕組みとは、その価値ある商品をお客様にどうやって届けるかという方法です。これまで店頭販売だけだった商品を、オンライン注文で店頭受け取りにすれば、お客様は自分の都合に合わせて受け取ることができます。
例えば、パン屋さんが「焼き立てパン」を売っている場合を考えましょう。
- 価値を変える:
- 今までのパンに「低カロリー」を追加して、健康を気にするお客様にも選んでもらう。
- 季節限定の特別なパンを作り、特別な価値を提供する。
- 仕組みを変える:
- お店だけでなく、インターネットで注文できるようにする。
- 朝に注文すれば、昼に受け取れる「予約受け取りサービス」を始める。
DXを実現するための3つのステップ
DXですが、実現するためには経営者が先頭に立って組織を変えることが重要になります。これまで見てきたとおり、DXではこれまでの業務で必要な情報を収集して活用すること、自社の提供する価値を変革して価値を提供する仕組みを変えることが必要となります。
自社の提供する価値や提供する仕組みは経営者が決断して決める必要があります。会社の将来の姿や提供する価値を決めることは経営課題です。そのため、まず経営者がDX実現のため経営に向き合うことが重要になります。
とはいえ、できるところから小さく始めることもできます。トップダウンで全体像を描きながら変革を進めることは理想ですが、現実的に経営資源は限られます。そのため、業務の効率化や業務の質を向上することから着手することは現実的な選択となります。
情報の共有がデジタル化することで業務効率が改善します。
電話などで口頭による情報共有を行っていたり、紙の情報をコピーして共有する、こういったアナログな情報共有をデジタル化します。そうすることで、情報をそれぞれのタイミングで共有することができ、再利用することも可能となります。
このことにより、いろいろな情報が蓄積されていきます。この段階では、多くの情報が蓄積されますが、必要な情報もそうでない情報も含まれます。
ある重機運搬会社では、重機の運搬作業についてドライバーと本社間の情報共有を口頭で行っていましたが、ドライバーが持ち運ぶタブレットのアプリを活用していつでも情報共有が可能となりました。(イラストでわかる!DXで変わる100の景色 P.110)
蓄積された情報を分析することで業務の質が向上します。
前月との比較や集まった多くの情報を活用することで、データを活用した分析ができるようになり、勘や経験だけに頼った業務から勘や経験を裏付けるデータを活用した業務に変わってきます。そのため、多くの人がデータを元に業務に携わることが可能となります。
香水などの企画や製造・販売を行う会社では、在庫の重量を検知することで在庫管理業務を無人化しました。これは、在庫を管理するための棚に重量を検知するマットを導入し、数値化した重量から発注を行う仕組みを導入しました。(イラストでわかる!DXで変わる100の景色 P.108)
デジタルデータを活用して気づいたことから顧客提供価値を変革し新たなビジネスモデルを実現します。
デジタルデータを活用することで、データを活用した業務が行われました。この業務を元に顧客に提供する価値をみなおし、新たなビジネスモデルを見いだすことが可能となります。
ある老舗旅館では、デジタルデータを活用してビジネスを越境する取り組みを行いました。旅館運営の効率化を目指し、独自のクラウド型運営システムを開発。このシステムにより、予約管理、清掃スケジュール、顧客情報の一元化を実現し、業務効率化と顧客満足度向上を両立しました。さらに、このシステムを他の宿泊施設にも提供し、新たな収益モデルを構築。従来の宿泊業からITソリューションビジネスへと事業領域を広げました。(イラストでわかる!DXで変わる100の景色 P.124)
最初からすべてのことを実現することはできませんが、ステップバイステップで進められる事からはじめて見てはいかがでしょうか。
参考書籍
今回は以下の書籍を参考にしました。
1冊目に読みたい DXの教科書 | SBクリエイティブ
DXとはどういうものか?についてわかりやすく説明されています。少し難しい内容も含みますが、第1章DXの基本はDXについてわかりやすくまとめられています。
イラストでわかる!DXで変わる100の景色
DXの事例について100個まとめられています。イラストも多く、DXを活用することで、どのように変化したかがわかりやすく説明されています。具体例を読みたい方におすすめです。
さいごに
DXについて興味をお持ちいただけたでしょうか?人手不足や物価高騰など経営環境は厳しさを増しています。そんな中で、少しでも改善を進めようと考えたとき、DXは有効な選択肢となってきます。
難しいことではなく、できることから進めるためにもご興味がありましたらご連絡ください。
